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【人面犬】1990年代に大ブームを巻き起こした都市伝説

最近では耳にすることがなくなりましたが、僕が生まれた1990年代に口裂け女などと一緒に世間を賑わせていた都市伝説「人面犬」。

 

一体どんな怪異なのでしょうか。

 

人面犬って何?

有名な都市伝説のため、知っている人は多いかもしれませんが、若い人など知らない人のためにざっくり説明します。

 

簡単に言うと「人の顔をした犬」です。文面にすると面白さしか僕は感じないのですが、リアルな姿を想像すると悍ましいです。古い?漫画の「地獄先生ぬ~べ~」でも人面犬が登場しています。

出典:地獄先生ぬ~べ~ より

犬好きからすると気分が悪くなりますが、イメージとしては大分近いですね。

 

いらすとやさんくらいデフォルメしてくれると助かりますがw

          

なんとイラストありました。この程度だと可愛いもんですね。

 

人面犬の特徴

「オカルト情報誌ムー」によると、下記のような記録があるそうです。

 

・様々な顔しているという目撃情報がある

・芸能人に似ている

・人語を話す

・車を追い越すほど高速で走る

・6m以上ジャンプできる高い運動能力

・噛まれると人面犬になってしまう     etc...

 

様々諸説ありますが、有名な特徴はこんなものです。噛まれると人面犬になるのは恐ろしいですが、意外とそんなに怖くないような気がしますね。

 

やはりというかなんというか、都市伝説に出てくる現代妖怪には「高速で走る」という特徴が多いような気がします。怖さを出すために、出会うと逃げるとこが出来ないという意味合いでの特徴付けなのかもしれないですね。

 

ちなみにムーでは人面犬の正体も考察していますが、大学の実験で生まれた「実験動物」や人や動物の「霊が動物に乗り移ったもの」、中国で捕獲された「山𤟤(さんき)」と呼ばれる化物が逃げたものなど、こちらも諸説あるようです。はっきりとした正体は誰も掴めていません。

 

古くは江戸時代にも記録が残っている

江戸時代の文人、石塚豊芥子の著書「街談文々集用」に記録が残されている。

 

発祥の地

噂程度のものしか見つけることができなかったが、埼玉県にある有名な心霊スポットが人面犬の発祥の地として噂されているそうです。

 

通称「畑トンネル」と呼ばれる場所で人と動物の霊が蓄積し、その結果生まれたのが人面犬という噂があるようですが、ここでは他にも心霊現象の報告などが多くあり、信憑性に欠けているように思われます。

 

人面犬ブーム仕掛人の存在

実はこの人面犬ブームが発生した背景にはある仕掛人の存在があるようです。

 

1993年発刊の「クイックジャパン創刊準備号」に自らを仕掛け人と明言している石丸元章」氏の記述があります。記事によると人面犬を「単なる子供の噂から子供社会の出来事にでっちあげる」実験をしたんだそうです。するとたちまちブームが巻き起こり、人面犬という都市伝説が人々の間で肉付けされ一人歩きをするようになり、この形になったと予想されます。

 

また、仕掛人とされる人物がもう一人いて、それが放送作家の「YAS5000(やすごせん)」と当時コンビを組んでいた相方だそうです。彼らは白衣を着て小学校に行き「人の顔をした犬が研究所から逃げてしまったんだけど、見なかったかい」と訊いて回ったそうです。その一年後、人面犬が大ブームになったそうです。人面犬の正体についてムーにて記載されていた「逃げ出した実験動物」という考察には、この出来事の影響が大きそうですね。

 

人面犬のように人間+○○の怪異は他にも存在する

調べてみると人の顔をしている動物というものは、意外なことに他にも存在しており、人面の牛「件(くだん)」や傷が人の顔になる「人面(じんめんそう)」、人面樹や人面鳥など、人面の妖怪や化物は多いです。

 

一方、顔部分は動物で体が人間といった存在もあります。こちらは主に妖怪ではなくむしろ神の部類に多い存在です。特にエジプトの神話では「アヌビス」や「セベク」、「ホルス」など多くの神も存在し、動物崇拝の結果こういった神が生まれたと考えられます。日本でも動物崇拝は多いですが、人と動物が混じった神というものは聞いたことがありませんね。

 

人面だからこその恐怖

人面+○○か〇〇+人の体のどちらの存在のほうが怖いかと感じると、人面のほうが不気味さや恐怖を感じますよね。これは人が人と認識する部分の大半を人面が占めているために、それが何かと混じることでとてつもない違和感になります。そこには、「人間の主の部分は顔で、従の部分は体という無意識的な認識」があるように僕は思います。

 

例えば人面犬を目にした時「人なのに体が犬なんておかしい」という、人であることを前提とした無意識的な認識による誤認が作用した結果、人間という同種でありながらも人間としてありえないという違和感とともに恐怖を感じるのではないでしょうか。

 

これが顔が犬の「アヌビス」の場合、「人なのに犬の顔」とは思わず「犬が人の体になっている」と感じるため、前提から人間とはまったくの別種と認識し、そういう生き物なんだと受け取られ、「動物の神」として崇拝されてもおかしくない存在として創造されたのかと思います。

 

オチのない都市伝説

都市伝説に出てくる話には大抵オチがあるものです。このオチの秀逸さにより都市伝説というものが話題になりやすく口伝で広まるのですが、人面犬にまつわる物語やオチというものがありません。強いて言えば「作られた都市伝説」というのがオチになるんでしょう。

 

まとめ

人面犬とは作られた都市伝説でありながらも、当時熱中した人々の創造によって発展していった妖怪です。そのため人面を持つ怪異の中ではかなりメジャーな存在とも言えます。拡散するツールのない時代において、ここまで広く拡散されたコンテンツというのもかなり珍しいケースでもあり、情報伝達速度の実験として用いられたという説もあながち間違いじゃなさそうです。

 

しかしながら、当時かなりの目撃情報があったそうで、中にも本物もあったかもしれませんね。